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書籍情報

中国経済はなぜ 制御不能に陥ったのか?

中国 統制経済の罠

葦原 大和著 

アシハラ ヤマト 

不動産バブル崩壊と膨らむ不良債権地方の債務は2200兆円?解消されないゾンビ企業…

ISBN978-4-8013-0841-1 C0033 256頁

発売:2026-08-27 判形:4-6

税込1980円(本体1800円+税)未刊

中国 統制経済の罠

[内容]
中国経済は好調なのか、それとも深刻な危機に向かっているのか。

不動産バブル崩壊・金融機関の傷口拡大・地方債務膨張という三重苦の中で、中国経済は「崩れるか粘るか」の瀬戸際に立たされているというような話が頻繁に耳に入ってきます。
一方では、電気自動車や太陽光パネル、レアアースなど、中国企業の競争力や産業上の優位性を示す情報も流れています。
ネガティブなニュースとポジティブなニュースが入り交じるなかで、「結局、中国経済はどうなっているのか」「共産党が強く統制しているのに、なぜ問題を止められないのか」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

中国は社会主義を掲げながら、市場競争も取り入れています。企業は価格やシェアをめぐって激しく競争する一方、銀行融資、補助金、産業政策、共産党組織などを通じて、国家と党の強い影響を受けます。
本来、強力な統制があれば、不動産価格の暴騰や企業の乱立、過剰投資、地方債務の膨張を抑えられるようにも思えます。ところが現実には、政策による後押しが過当競争と過剰生産を招き、問題が表面化すると別の統制策が新たなひずみを生み出してきました。
なぜ「全能」に見える共産党が、中国経済の混乱を止められないのか。
本書は、この問いを出発点として、不動産、金融、地方財政、企業経営、汚職という五つの側面から、中国経済が抱える問題の発生と拡大のメカニズムを読み解く一冊です。難しい数式や専門用語に偏らず、具体的な制度と事例をたどりながら解説します。


【本書で扱う主な内容】
・社会主義市場経済と、共産党による企業統制の仕組み
・中国の経済政策を動かす機関と意思決定の流れ
・不動産バブルが生まれ、対策によって崩壊へ向かった経緯
・土地収入に依存する地方財政と、融資平台、隠れ債務の構造
・シャドーバンキングが債務問題を見えにくくする理由
・支援を受けながら残り続けるゾンビ企業の実態
・賄賂と汚職が統治や経済成長に与える影響
・中国経済のひずみが日本や世界に及ぼす可能性

【こんな方におすすめです】
・中国経済の今後を、断片的なニュースだけでなく構造から理解したい方
・不動産バブル、地方政府債務、不良債権のつながりを知りたい方
・中国共産党の政治体制と経済政策の関係に関心がある方
・中国企業との取引や中国市場の動向を考えるビジネスパーソン
・国際政治、安全保障、地政学と経済の接点を学びたい方
・専門家向けの難解な経済書ではなく、読みやすい解説書を探している方

中国経済の問題は、単なる景気の波ではありません。その背後には、中央政府、地方政府、国有企業、民営企業、金融機関が複雑に結びついた統治と経済の構造があります。
本書は、中国経済をめぐる相反する情報を整理し、「なぜ問題が繰り返されるのか」を自分の頭で考えるためのガイドです。ニュースの見え方を変えるための、現実的な視点を提供します。

[目次]
第1章 中国経済の仕組み
1・中国経済の特徴
 社会主義市場経済とは/旧ソ連時代/毛沢東時代の中国/現在の経済運営
2・プライベートセクター
 民営企業の創業者と共産党
3・プライベートセクターへの介入
 共産党支部の受け入れで企業が得るメリット/共産党支部の目的と役割
4・中国の経済政策決定プロセス
 中国経済の司令塔 発改委/重視されるのは共産党への忠誠心/中央銀行と財政部
5・中国経済の謎

第2章 不動産バブルという怪物
1・中国の不動産バブル崩壊の現状
2・不動産バブルとは
 指標① 価格所得比(PIR : Price to Income Ratio) /指標② 価格賃料比(PRR : Price to Rent Ratio)/指標③ 住宅ローン(家計債務)の対GDP比
3・不動産バブルの何が問題なのか?
 生活への脅威/資源配分の歪み
4・中国はいつから不動産バブルだったのか?
 不動産の個人所有/住宅の商品化/リーマン・ショック後の大規模経済対策/日本を超えた価格所得比
5・強力なバブル対策三条紅線
 レッドライン1 総資産に対する負債比率が70%を上回らないこと/レッドライン2 純負債対自己資本比率が100%以下/レッドライン3 短期負債を上回る現金を保有していること/「対策」と「政策」/企業評価
6・バブル崩壊
 社会問題化/政府主導の経済で発生したバブル
7・不動産バブルの現在と未来
 金融への影響/バブルの後遺症はいつまで続くのか

第3章 地方政府の巨額債務問題
1・中国政府の債務問題の特徴
2・中国の特殊な財政システム
 財政包乾制/分税制/地方の苦境/誤算
3・土地出譲制度
 利用された土地出譲制度/GDP至上主義/蕪湖モデル
4・融資平台(Local Government Financing Vehicle)
 当初は中央も推奨/中央の態度変更/シャドーバンキング
5・可視化の開始
 全国監査の結果/地方債
6・それでも解決されない地方債務問題
 PPP(官民パートナーシップ)の悪用/政府投資基金(GGFs政府引導基金)/政府購買サービスの悪用/融資平台利用の巧妙化/シャドーバンキングの深層化
7・今後の見通し

第4章 ゾンビ企業という病理
1・そもそもゾンビ企業とは何か
 日本市場最も有名なゾンビ企業 ダイエー/ゾンビ企業の定義/中国のゾンビ企業の特徴
2・中国のゾンビ企業の実例
 龍煤集団/渤海鋼鉄集団
3・ゾンビ企業が抱える問題
 中国政府の対策/北京の対策
4・なぜゾンビ企業は残存しているのか
 米中貿易戦争とコロナの二重インパクト/「新質生産力」への政策転換
5・他国への影響と今後の見通し
 温存される企業と淘汰される企業/世界への影響/日本への影響

第5章 賄賂政治と中国経済
1・汚職という社会システム
2・汚職を引き起こす社会構造
 業務コストに見合わない給与/「炭敬」と「氷敬」を通じて行われる不正蓄財/汚職という中国の統治システム/中央権力を弱体化させる汚職システム
3・「虎もハエも叩く」~摘発された汚職事件~
 政界のドン・周永康/中国金融界のドン・頼小民/メガトン級のハエ・馬超群 悪代官も真っ青の賄賂要求/昇進で失脚したハエ・双百院長こと王天朝
4・軍幹部の汚職
 軍の実質を失わせた商業活動/軍を弱体化させる汚職/賄賂で地位を失った国防相/蔓延する汚職と経済損失
5・中国経済への影響
 現在の中国で新発明が生まれないワケ/経済成長を阻害する第2の税金/中国の汚職は一党独裁があるかぎりなくならない


[著者略歴]
葦原大和(あしはら・やまと)
YouTubeチャンネル「葦原大和 DEEP MAX」を運営するチーム葦原代表。「葦原大和 DEEP MAX」のチャンネル登録者数は38万人以上。
中国での長期的な活動経験を通じて、現地企業関係者や研究者、各種専門領域の実務家との交流を重ね、公開情報だけでは把握しにくい経済・政策の現実的な動きに触れる機会を得る。主に中国経済、中国政治、国際関係、安全保障、地政学を横断し、「ニュースの断片ではなく構造そのものを理解する」ことをテーマに分析・発信を行う。